宇治抹茶スイーツは、林屋和成から始まった。


お茶屋が、お菓子をつくった理由。

京都宇治抹茶茶游堂店主
急須でお茶を淹れることが当たり前だった昭和60年頃のことです。

お茶は繊細な飲み物です。茶葉の量、お湯の温度、淹れる人の技量によって、同じ茶葉でも味がまるで変わってしまう。茶製造元がどれだけ丹精込めて美味しいお茶をつくっても、淹れる人によって美味しくもなり、まずくもなる。「お茶を本当に美味しく飲めている人が、いったいどれくらいいるのだろう」——当時、京都の有名製茶会社に30年近く勤め、お茶の栽培・製造・販売・商品企画に携わっていた林屋和成は、そんなことを考えながらお茶を売り続けていました。
そんな折、缶入りのお茶飲料が登場しました。「本物のお茶ではない」と懐疑的な声が茶業界には多かった。しかし実際には短期間で販売本数を伸ばし、種類も豊富になり、消費者に確実に受け入れられていった。その現実を目の当たりにしたとき、林屋はひとつのことを確信しました。「簡単に、いつでも同じ味で楽しめるお茶が、これからの時代には求められている」と。
急須で淹れるお茶は、淹れる人の技量に左右される。缶飲料は手軽だが、本物のお茶の風味には届かない。ならば、お茶屋にしかできない方法で、より多くの人にお茶の美味しさを届けられないか——そこから生まれたのが「抹茶スイーツ」という発想でした。

 

抹茶スイーツの誕生

茶游堂宇治抹茶ロールケーキイメージ1989年、林屋和成は京都宇治のお茶屋として初めてと言える「抹茶スイーツ」の製造部門を立ち上げ、「お茶の美味しさを最大限に引き出し、誰もが同じように味わえる宇治抹茶スイーツ」を世に送り出しました。抹茶トリュフチョコレート、抹茶バームクーヘン、抹茶パウンドケーキ、抹茶ロールケーキ——今でこそ当たり前のように存在するこれらの抹茶スイーツを、宇治のお茶屋として最初に手がけたのが茶游堂の当主です。
しかしその頃は、抹茶スイーツという言葉すらない時代でした。親交の深い宇治のお茶屋から「お茶屋はお茶だけ売っていればいい」と言われることもあった。抹茶スイーツが売れる時代が来るなど、誰も想像していなかった頃のことです。それでも林屋は、宇治茶文化の未来を守るために、自分が信じた道を歩み続けました。
その後、2003年に京都宇治の老舗・上林春松本店の協力を得て独立開業。2006年に株式会社林屋久太郎商店を設立し、「京銘茶・茶游堂」として六地蔵に根を張ってきました。流行を追いかけたのではなく、流行が追いかけてきた。それが茶游堂という店の成り立ちです。

 

千年の歴史を持つ、宇治という土地で。

京都・宇治は、日本を代表するお茶の産地です。鎌倉時代に茶の栽培が始まって以来、宇治茶は日本のお茶文化の中心を担ってきました。その宇治の地で、茶游堂は宇治茶・宇治抹茶と向き合い続けています。
宇治抹茶は、産地や茶葉の質によって風味が大きく異なります。茶游堂では、ブレンドの割合や仕立て方を自らが吟味し、茶問屋に特注する形で各商品に合った抹茶を使用しています。着色料や香料に頼らず、宇治抹茶本来の色と香りをそのままお菓子に。それがお茶屋としての、変わらないこだわりです。

 

茶游堂の抹茶スイーツは「抹茶」が違います。

京都宇治石臼挽き宇治抹茶の石臼イメージ茶游堂がつくる抹茶スイーツは、わらび餅、ロールケーキ、プリン——誰もが幼い頃から親しんできたお菓子ばかりです。特別な日のためではなく、日常の中で宇治抹茶の美味しさに触れてほしい。宇治茶を「これからも、より身近で親しみやすいものに」という思いが、すべての商品の根底にあります。
看板商品の「濃茶ロールケーキ」は2008年の発売以来、雑誌やテレビで数多く紹介され、累計10万本を超えるロングセラーとなりました。「濃茶(こいちゃ)」とは、泡立てて飲む薄茶とは異なり、茶葉をたっぷり使って練るように点てる、茶席で供される格式高い抹茶のことです。その名を冠したこのロールケーキは、単に抹茶を多く入れただけの菓子とは一線を画します。苦みや渋みに頼るのではなく、上質な宇治抹茶が持つ本物の旨みをどこまで引き出せるか。茶師としての意地と技術が、この一本に込められています。
現在、抹茶を使ったお菓子は世の中に溢れています。大手メーカーも参入し、着色料や香料で「抹茶らしさ」を演出した商品も少なくありません。茶游堂は、抹茶スイーツが売れるから販売しているのではありません。「お茶の美味しさをスイーツに乗せて未来に残す」ために、お菓子屋感覚ではなくお茶屋感覚で、本物の宇治抹茶の風味を大切にしたお菓子をつくり続けています。

 

京都・宇治から、全国へ。

茶游堂の本店は、地下鉄・JR六地蔵駅から徒歩5〜6分、京阪六地蔵駅から徒歩7分の場所にあります。宇治の中心街からは少し離れた場所ですが、わざわざ足を運んでくださるお客様が今も絶えません。全国の催事にも年間を通じて出店しており、直接お客様と向き合う機会を大切にしています。
店頭でお買い求めいただける商品はもちろん、オンラインショップからも全国へお届けしています。京都土産・宇治土産として、あるいは抹茶ギフトとして、大切な方へお贈りいただく機会も多い茶游堂の抹茶スイーツ。宇治抹茶スイーツの先駆者として歩んできた歴史とともに、これからも千年の歴史を持つ宇治茶とともに、不変不滅の「ほんまもん」を届け続けてまいります。
京銘茶・茶游堂(株式会社林屋久太郎商店)